西七条、しぶい朝の洗礼
涼しくなった朝は、遠出したくなる。
寒くて目が覚めた、日曜の朝。ブランケットを一枚、Koseと取り合っている。ということはつまり、あの猛暑がようやく終わったということだ。

涼しくなったら、ちょっと遠くまで行ける。「あそこ行こーよ」とKoseが自転車を指差したので、そのままふたりで20分弱のサイクリング。目指すは、Koseイチ押しの渋い朝飯屋だった。

選択肢が多すぎて、動けなくなった朝


店に入ってすぐ、ずらりと並ぶおかずのショーケース。魚、肉、お刺身、オムレツ。守備範囲が広すぎる。
朝定食は2種類。ご飯とお味噌汁と生卵に、ショーケースから¥165のおかずをひとつ選ぶもの。もしくは、うどんとご飯に¥165のおかずをひとつ。Mariはごはん派、Koseはうどん派で、そこはすんなり分岐した。
問題はそこからだった。選択肢が多いと人は選べなくなる、とはよく言うけれど、まさにそれ。生姜焼きもいいし、魚の煮込みも捨てがたい。Koseが選んだご飯のお供的なおかずも気になる。うーーーん、うーーーん、と唸っていたら。

「そこ、どいてくれるか。」
背後から、低い男性の声。背筋がピンと伸びる。
京都駅から南側は、ちょっとガラが悪いと言われるエリアだ。銭湯が多いのも、刺青OKの店が多いからだと聞く。偏見ではなく、リアルな話として。

食堂を見渡しても、写真を撮りながら「渋い店だな〜」なんてやっているのはたぶん私たちだけ。
壁に向かって黙々と食べるおじいさんと、仲間と連れ立った刺青入りの男たち。でもみんな、ただ静かに、いつも通りの食事をしているだけだった。私たちもその空気に、少しだけ溶けてみる。

う、う、うまい。
Mariは結局、かれいの煮付けを選んだ。生卵を白ごはんに落としてTKGにし、かれいと一緒にいただく。お味噌汁を流し込む。これを繰り返す。うまい。隣でKoseは、うどんと納豆ご飯を交互に楽しんでいる。

気づけば、ペロリと完食していた。自転車で来ただけあって、思った以上にお腹が空いていたらしい。
大満足の朝ごはんで、会計は2人で¥1,370。朝定食¥450(かれいの煮付け+¥320)、Koseのうどん定食¥600。「え、ひとり分の値段じゃなくて?」と思わず二度見してしまう安さだった。
写真を撮っているのは、たぶん私たちだけ。

家庭料理そのままの、昔ながらの食堂の雰囲気。おかずはショーケースから選ぶスタイルで、お茶やお水はセルフサービス。卓上には調味料がずらりと並び、ショーケースには20種類以上のおかずが顔を出す。
近くに卸市場があるらしく、この安さもそのおかげなんだとか。なるほど。
正直、Mariひとりで入る勇気は出ないけれど、ふたりとか、グループならきっと最高の朝ごはんになる。気取らず、京都の日常にある食堂の空気をそのまま味わいたい人向け。
梅小路から歩いて7分

JR山陰本線(嵯峨野線)「梅小路京都西駅」から徒歩約7分。烏丸や大宮エリアからなら、自転車で15分ほど。おすすめは、京都駅からJRで梅小路京都西駅まで出て、そこから歩くルート。Loopとか乗るのが気軽かな、とも思う。詳細な場所はMapから。



